「やっぱり買って良かった」
カスタムURUSHI
8ヶ月前、僕は「カスタムURUSHI」という万年筆を手に入れました。
価格も10万円以上と高く、サイズも大きく、正直「使いこなせるのかな?」という不安もありました。
でも今なら、迷っていたあの頃の自分にこう伝えたい。
「大丈夫。買って良かった」
今回は、8ヶ月使い続けたからこそ感じるこの万年筆の魅力と、リアルなメリット・デメリット、そしてスペックについてもご紹介します。
「カスタムURUSHI」とは?
「カスタムURUSHI」は、パイロット(PILOT)社が誇るハイエンド万年筆のひとつ。
“書き味”にこだわる人々から高く評価されている「カスタムシリーズ」の中でも、特に存在感と美しさを兼ね備えた一本です。
最大の特徴は、職人の手による本漆塗りのボディ。
日本の伝統技術「漆」をまとったその姿は、まるで美術工芸品のような気品を放ちます。
さらに、カスタムURUSHIは
通常よりも一回り大きなサイズ感と、大型の18金ペン先(30号)を採用しており、しなやかで豊かな書き味を実現しています。
ペン先の種類は細字・中字・太字から選べ、柔らかく筆圧レスな筆記を楽しめる仕様が選べるのも魅力です。
「書く道具」でありながら、「書くことの楽しさ」を再発見させてくれる、そんな特別な万年筆。
それが「カスタムURUSHI」です。
書くことが楽しくなる
しなやかなペン先

この万年筆の一番の魅力はなんといっても、筆圧のいらない滑らかな書き心地。
ペン先がとても柔らかく、軽く触れるだけでスルスルとインクが紙の上を走っていきます。
僕が選んだのはB(太字)ニブ。
バネのようにしなるこのニブは、繊細なタッチでもインクがしっかり出て、文字に自然な強弱が生まれるのが特徴です。
「毛筆のような書き味」とよく言われますが、実際に使ってみるとその言葉の意味がよくわかります。
「書くことが楽しい」と思わせてくれる万年筆は、私にとってこれが初めてでした。
この書き心地の秘密
カスタムURUSHIで書いたときに最初に感じるのは、「まるで筆で書いているような感覚」。
インクがスルスルと流れ、力を入れずに書いても、文字がしっかりと紙に乗る。
この独特の書き心地には、“ある秘密”があります。
圧倒的な存在感
30号の大型ペン先

一般的な万年筆は、5号や10号といったサイズのペン先が使われていることが多い中、カスタムURUSHIに搭載されているのはパイロット最大サイズの30号のペン先。
これは同社の他の万年筆ではほとんど使われていない特別仕様です。
この大型ニブは、面積が広く、しなりの幅も大きく取れるため、
ペン先が紙に触れたときに自然な「しなり」が生まれます。
この“しなり”がまるで毛筆のような動きをし、
筆圧をかけなくてもインクがストレスなく流れる、あのしなやかな書き味を実現しているのです。
この写真を見ても、カスタムURUSHIのペン先は圧倒的に大きいですよね。
この万年筆を使いたくて
書く時間が増える
この万年筆を使い始めてから、意味もなく書く時間がぐっと増えました。
日記、メモ、ToDoリスト、アイデア出しなど
以前は「書かなきゃいけないから書く」ことが多かったのに、
今では「この万年筆を使いたいから書く」ようになっている自分がいます(笑)。
滑らかに流れるインク、力を抜いても美しい文字が出る安心感。
そして何より、このしなやかな書き味を体感したくて、気づけば自然と手が伸びている。
まるで、心の中の言葉をそのまま紙に降ろしてくれるような感覚。
この万年筆で書く時間は、“自分を整える時間”になりました。
とにかくデカい(笑)
他にはない特別な1本
カスタムURUSHIの魅力は書き味や美しさだけではありません。
“モノとしての存在感”もまた、この万年筆を特別な一本にしています。

まず特筆すべきは、最大径20mm・全長155mm・重量44gという圧倒的なサイズ感。
手に持った瞬間に感じる重厚さ、しっかりとした握り心地は、一般的な万年筆とは一線を画します。
漆が生む、奥行きある佇まい
「URUSHI(漆)」という名前の通り、ボディには職人の手で漆塗りが施されています。
見た目は一見黒に近いのですが、よく見ると深みのある艶があり、光の角度で微妙に表情が変わるのがたまりません。
そして、実際に手に取ったときに驚くのがその手触りの心地よさ。
表面はつるっとしていながらも、どこかしっとりとした質感があり、指先に吸い付くような優しい感触があります。
派手さはないけれど、静かな存在感。
日本の伝統技術と現代の筆記具が融合したような、特別な美しさと触感を感じられる一本です。
デメリットも、正直に。
長く使っているからこそ見えてくる欠点もあります。
完璧ではありません。
でも、それでも「愛せるかどうか」が大事なのだと思います。
① 長時間の筆記には不向き
重量があるため、10分以上の筆記だと指や手首に疲れを感じます。
「大量に書く」という用途よりは、「丁寧に向き合って書く」ことに向いています。
② 紙を選ぶ
インクフローが良すぎるため、裏抜けしやすい紙では滲みが出ることも。
万年筆用のノートを使えば、そこまで大きな問題にはなりません。
③ 価格が高い
まず最大のハードルは、価格かもしれません。
税込で165,000円(メーカー希望小売価格)。
万年筆としてはかなり高額です。
私自身も購入前は、正直「さすがに高すぎるかな…」と何度も迷いました。
けれど迎えてみて感じたのは、“高いけど、それだけの価値がある”ということ。
書き味、質感、存在感、使うたびに感じる満足感――
この一本が与えてくれる体験は、ただの「道具を手に入れた」というレベルではありません。
④ ペンケースを選ぶ
カスタムURUSHIは非常に太軸かつ長さもあるため、一般的なペンケースには入らないことも。
革製などしっかりした素材のペンケースでないと収まりが悪く、収納に気を使います。
「持ち歩き用」として考えている方には、事前にサイズ確認をおすすめします。
ちなみに、私が使っている&Liebeのペンケースは、カスタムURUSHIもすっぽり収納可能。
万年筆好きのために設計されたサイズ感なので、太軸ペンも安心して持ち運べます。

まとめ
この一本が“特別”になった理由
カスタムURUSHIは、決して万人にオススメできる万年筆ではありません。
でも、「書くことが好き」「道具にこだわりたい」「丁寧に向き合いたい」という方には、確実に心に残る一本になると思います。
・筆圧いらずの、しなやかでなめらかな書き味
・深みある漆の仕上がりが生む静かな存在感
・書く時間そのものが豊かになるという感覚
僕にとってこの万年筆は、ただの文房具ではなく、「書くことを楽しませてくれる存在」になりました。
毎日使わなくても、ふとした瞬間に「これで書きたい」と思える。
それだけで、手元に置いておく意味があると感じています。
心から、買って良かったと思える一本でした。
これからも大切に、愛していこうと思います。