万年筆の字幅、どれを選べばいい?

自分に合う字幅の選び方

万年筆を選ぶとき、軸の色やデザインはすぐに決まったのに、最後の「字幅」で迷ったことはありませんか?


EF、F、MF、M、B。


アルファベットだけを見ても、実際にどれくらいの太さなのか、最初はなかなか想像しにくいですよね。


僕自身、万年筆を使い始めた頃は、字幅によって書き心地まで変わることをよく分かっていませんでした。


「普段使いしやすそうだから、細い方がいいのかな」


そんなふうに考えていましたが、いろいろな字幅を使っていくうちに、細ければ使いやすい、太ければ書きにくい、という単純なものではないことが分かってきました。


手帳に細かく予定を書き込む日もあれば、ノートに考えていることをゆっくり書きたい日もある。

インクの色や濃淡を眺めながら、ただ書くことを楽しみたい日もあります。


結論からお伝えすると、どの字幅が一番良いというものではなく、普段どこに、どれくらいの大きさで書くかによって選ぶのがおすすめです。


今回はPILOT製の万年筆を使い、「万年筆 Fountain pen」という同じ言葉を、EF・F・MF・M・Bの5つの字幅で書き比べてみました。

並べてみると、少しずつ線が太くなっていくのが分かります。


ただ太さが変わるだけではなく、文字の見え方や書き心地、インクの表情まで変わるところが、万年筆のおもしろさです。


ここからは、それぞれの字幅の特徴と、どんな使い方に向いているのかを詳しくご紹介します。

EF(極細字)

EFは、今回比較した中で最も細い字幅です。


小さな文字を書きやすく、手帳の予定欄や限られたスペースにも、たくさん書き込めます。


細いボールペンに近い感覚で使えるので、初めてでも取り入れやすいと思います。


一方で、紙に触れる面が小さいため、少しカリカリとした書き味を感じることもあります。


細かな予定や記録を書き込みたい方、普段から文字を小さく書く方におすすめです。

F(細字)

Fは、細すぎず太すぎない、普段使いしやすい字幅です。


手帳や仕事のメモ、日記、手紙など、幅広い場面で使えます。


細かな文字を書きながら、万年筆らしいインクの流れも感じられる、バランスのよい太さです。


「最初の一本を、いろいろな用途で使いたい」


そんな方は、まずFを候補にすると選びやすいと思います。

MF(中細字)

MFは、FとMのちょうど中間にあたる字幅です。


Fよりも線が少し太く、Mよりも細かな文字を書きやすいので、手帳にもノートにも使いやすい絶妙なバランスがあります。


Fでは少し細く感じるけれど、Mだと太すぎる。


そんな方には、ちょうどよく感じられる字幅だと思います。


ただし、MFを展開していないメーカーもあります。

M(中字)

Mは、FやMFよりも線が太く、滑らかな書き心地を楽しみやすい字幅です。


線がしっかり見えるため、インクの色や濃淡も分かりやすくなります。


小さな手帳にびっしり書くというより、ノートや日記、手紙などに、少し大きめの文字でゆったり書くのに向いています。


実用性だけでなく、万年筆で書く気持ちよさも楽しみたい方におすすめです。

B(太字)

Bは、今回比較した中で最も太い字幅です。


一文字ごとの存在感があり、インク本来の色や濃淡をしっかり楽しめます。


何より、ペン先からインクがドバァーっと出て、紙の上を滑っていくような感覚がたまりません。


僕も最初は、太字は使う場面が限られると思っていました。


しかし、いろいろな字幅を使ううちに、この豊かなインクフローが好きになり、今ではBが一番好きな字幅になりました。


細かな記録には向きませんが、短い文章や見出し、サインを書いたり、インクそのものを楽しんだりするときにはぴったりです。

同じFやMでも、メーカーによって

太さは同じではない?

ここで気をつけたいのが、同じFやMでも、メーカーによって実際の太さが違うことです。

一般的には、日本のメーカーは細め、海外のメーカーは少し太めに感じることがあります。


さらに、使うインクや紙、ペン先の個体差によっても、線の太さやにじみ方、書き心地は変わります。


今回の書き比べも、ひとつの目安としてご覧ください。

まとめ|自分に合う字幅を選ぶには

今回書き比べてみたように、字幅が変わると、線の太さだけでなく、書き心地やインクの見え方も大きく変わります。


選ぶときの目安は、次のとおりです。


手帳に細かく書き込みたいなら、EFやF。


手帳にもノートにも使いたいなら、FやMF。


滑らかな書き心地やインクの表情を楽しみたいなら、MやB。


普段どこに、どれくらいの大きさで文字を書いているのか。


そして、万年筆に実用性を求めるのか、それともインクの色や書き心地を楽しみたいのか。


いつもの「書く時間」を思い浮かべてみると、自分に合う字幅が少しずつ見えてくると思います。


個人的に、ぜひ一度使ってみてほしいのがBです。

手帳に細かな文字をびっしり書き込むには、少し不向きかもしれません。


でも、ペン先からインクがドバァーっと流れ、紙の上を滑るように書ける感覚は、太字ならでは。


「万年筆で書くって、こんなに気持ちいいんだ」


そう感じられる字幅だと思います。

実用性で選ぶならEFやFも使いやすいですが、万年筆の書き心地やインクの表情を存分に楽しみたい方には、僕はBをおすすめしたいです。


ぜひ、ご自身にぴったりの字幅を見つけて、万年筆で書く時間を楽しんでみてください。