高い万年筆 vs 安い万年筆

その価格差、本当に書き心地に表れる?

万年筆は、数千円の手軽なものから、数十万円もする高級品まで幅広い価格帯が存在します。


しかし、実際に使ってみると正直、「書き心地はそこまで違うのか?」と疑問に思うこともあります。


本記事では、高価な万年筆と安価な万年筆の違いを掘り下げ、本当に価値があるのはどこなのかを考えてみました。

1.

書き心地の違いは

価格差ほど大きいのか?

万年筆の最大の魅力のひとつが「滑らかな書き心地」です。


確かに、数千円の万年筆と数十万円の万年筆を比べると、モンブランなどの高級万年筆のほうがスムーズに書けることが多いです。


しかし、書き味が価格差ほど明確に感じられるかというと...

そんなことない。

例えば、「プラチナのプレピー」(500円程度)や「無印良品万年筆」(1,500円程度)でも十分に滑らかで、実用性は高いです。

この2本が優秀すぎる

一方で、モンブランの「マイスターシュテュック」やペリカンの「スーベレーン」などの高級万年筆は、確かによりスムーズな書き心地ですが、安価なものと比べて、書き心地に価格差以上の差は感じにくい。


結局のところ、書き心地の違いは確かに存在するものの、書き心地に価格差に比例するとは言い切れないのです。

2.

 高級万年筆は「ロマン」に

お金を払っている?

きっと万年筆沼の人ならわかってくれると思いますが、


高級万年筆の魅力は、書き心地だけではなく、その「所有する喜び」にもあると思っています。


これは、機械式時計や高級車の世界と似ています。


ここから高級万年筆と安価な万年筆の違いを掘り下げてみます。

① 素材と作りの違い

万年筆の価格差を生む大きな要因の一つが、使用される素材と作りの違いです。


安価な万年筆は、主にプラスチックやステンレスを素材とし、シンプルな構造で大量生産されることが一般的。


一方、高級万年筆では、ペン先に金を使ったり素材の質や製造工程、職人さんによる手作りなどこだわりが詰まっています。



例えば、モンブラン149には金ペン先が採用されており、筆圧に応じたしなやかさが楽しめます。


金は柔軟性があり、長く使うほどに持ち主の筆記スタイルに馴染んでいく特性があります。



対して、安価な万年筆ではステンレス製のペン先が使われることが多く、長期間放置すると錆びる可能性がある(インクによる錆び等)。



金は貴金属であり、価格が変動しやすく、ステンレスに比べて圧倒的に高価です。


そのため、金ペン先を採用した万年筆は必然的に価格が上がります。

そりゃ高いのも納得

漆塗りの万年筆

万年筆には、単なる筆記具を超えた「工芸品」としての側面を持つものがあります。


その代表が漆塗り万年筆「カスタムURUSHI」


僕の大好きな万年筆で、美しい光沢と滑らかな手触りが魅力ですが、この漆塗り作業がとにかく大変なんです。



漆塗り万年筆はエボナイトに漆を何層にも重ねるため、塗っては乾かしを何度も繰り返し製作します。


時間と手間をかけて1本1本作っているので高いのも納得です。

② デザインとブランドの魅力

モンブランやペリカンなどの万年筆を持つことは、単なる筆記具以上の意味を持つことがあります。


高級万年筆は自分の気分を上げてくれるアイテムですよね。


例えば、モンブランの「マイスターシュテュック149」は、多くの著名人やビジネスエリートが愛用するモデルです。


万年筆を単なる道具ではなく、「自分を表現するアイテム」として考えると、その価値は価格以上のものになります。

3.

安い万年筆でも

十分満足できるのか?

結論から言うと、実用性だけを考えれば、数千円の万年筆でも十分です。


例えば、「LAMY safari」などは、コストパフォーマンスが高く、普段使いに最適です。



また、最近では1000円以下の「プレピー」でも、驚くほどスムーズに書けるようになっています。


これは本当にびっくりした!

万年筆デビューにおすすめしたい。



では、高級万年筆を買う意味はないのか? というと、そうではありません。


前述の通り、所有する満足感やブランドの魅力、素材の違いなど、高価な万年筆には「価格以上の価値」があるのも事実です。

4.

どちらを選ぶべきか?

万年筆選びのポイント

では、実際に万年筆を選ぶとき、どのように考えればよいのでしょうか?


✔ 実用性を重視するなら

・とにかく安いものが欲しい →「プラチナのプレピー」など


・仕事やプライベートで手軽に使いたい →「 LAMY safari」など



✔ ロマンを求めるなら

・所有欲を満たしたい → モンブラン「マイスターシュテュック」やペリカン「スーベレーン」


・日本の工芸技術を楽しみたい → 「パイロットのカスタムURUSHI」「ナミキ」「中屋万年筆の蒔絵・漆塗りモデル」など

5. 

まとめ

結局、高い万年筆は必要か?

高級万年筆を買うべきかどうか...


それは、「書き心地」だけではなく、「万年筆に何を求めるか」によって答えが変わると思っています。


ただスムーズに書きたいだけなら、手頃な万年筆でも十分に満足できるでしょう。



でも、使うたびに気分が上がるような体験をしたいなら、高級万年筆を選ぶ価値はあります。 



手にした瞬間の心地よさ、インクが紙を滑る感触、持つ喜び。


そうした「書く」という時間そのものを、特別なものにしてくれるのが、高級万年筆の魅力です。

万年筆は、ただの筆記具ではなく、持つ人の個性やこだわりを映し出す「相棒」のような存在。


日々の筆記時間を少しでも豊かにしたいなら、心惹かれる一本を手に取ってみてください。


運命の一本は、きっとどこかであなたを待っています。


ぜひ、手にするたびに気持ちが高まるような万年筆を見つけてみてくださいね。