2025年、買ってよかったモノ
①
Kaweco
クラッチペンシル「スケッチアップ」
買ってみて、「これは大当たりだった」と感じた一本です。
カヴェコのクラッチペンシル「スケッチアップ」。
特徴は何といっても 5.6mmという極太の芯。
線がドンと太く出て、書きごたえが抜群。
特に気に入っているのが、タスクを消すときです。
「よし、終わった!」
その瞬間に極太の線をガッと引くと、
まるで敵を倒したときのような爽快感があります(笑)。
仕事の一区切りを、
視覚と手の感覚で“ちゃんと体感できる”のがいいなって思います。
また、プロダクトデザインのラフにもよく使っています。
細部を描くというより、
全体のイメージをつかむための線を引くのにちょうどいい。
正直、細かい文字を書くにはまったく向いていません。
漢字なんて、ほぼ書けないです(笑)
学生さんは、国語のテストでは使わないことを強くおすすめします。
「止め」「はね」「はらい」?
そんなものは全部、勢いで消し飛びます。
なので、細かい文字を書くときは、
同じカヴェコの 「スペシャル(0.5mm)」 を使っています。
このペンを使い始めて、改めて感じたのは、
「道具は、用途で使い分けるものなんだ」 ということ。
当たり前のことだけど、
こういう極端な一本に触れると、それを強く実感します。
一本で全部をこなそうとしないほうが、
仕事も、考える時間も、ずっと心地よくなる。
「この場面では、これを使おう」
そんなふうに考える時間自体も、実は楽しかったりしますよね。
そのために、ペンケースがあるのかもしれないな、なんて思ったりもしています。
そんな、当たり前だけど大事なことを思い出させてくれた一本です。
②
Mnemosyne A4ノート
次に紹介したいのが、
僕の仕事の中心にいつもあるノート。
マルマンの ニーモシネ A4ノート です。
まず、見た目が好き。
真っ黒な表紙がシンプルで上品で、
机の上に置いてあるだけで、気持ちがスッと引き締まります。
ポイントは、やっぱり A4サイズ。
とにかく広くて、
思考を途中で止めずに、思う存分書き込めるのがいい。
僕は毎朝、手帳を書いたあとにこのノートを開いて、
その日のタスクをバーッと書き出します。
「インスタの撮影」
「ブログの執筆」
「試作品の調整」
とにかく全部書いて1日が始まります。
さらに別のページには、
1日の中でふと浮かんだことを、片っ端からメモしていきます。
お客様の声で
「こんな商品があったら嬉しいな」という一言だったり、
「ここ、もう少し良くできそうだな」という小さな気づきだったり。
考えがまとまっていなくても、とりあえず書いています。
そして
「これは残したいな」と思えるアイデアが出てきたら、
そのページを ビリッとちぎる。
この“豪快にちぎる”感じが、妙に気持ちよくて(笑)
頭の中まで一緒に整理されていく感覚があります。
最初は、ノートに描いたラフや、
走り書きのメモにすぎなかったもの。
それを少しずつ見返して、
「これは形にできそうだな」と思える瞬間が来る。
そんな過程そのものが、
僕はとても楽しいなと感じています。
今回の バインダー手帳 も、
まさにこのノートに書いたアイデアがきっかけでした。

万年筆が収納できるペンホルダーと、
できるだけ無駄を削ぎ落としたシンプルな手帳。
現在は試作品を使いながら日々検証していますが、
とても使いやすいなと感じています。
「書くこと」に集中できて、
考えたことをそのまま受け止めてくれる。
この手帳もまた、
ノートに書いたアイデアから生まれたひとつの形です。
こうしてみると、
ニーモシネは僕にとって、
ただのノートではありません。
思考を広げて、
散らばった考えを受け止めて、
必要なものだけを手元に残してくれる。
まさに、
考えるための相棒 のような存在です。
③
Mnemosyne
A4 ノートパッドホルダー
(5ポケッツ)
先ほどのニーモシネのA4ノートを、
ピタッと収められるのがこのノートパッドホルダー。
ブラックのノートと一緒に持つと、一気に“できる男感”が増します(笑)。
僕がこれを愛用している理由は
ポケットが5つあり、
アイデアの切れ端や忘れたくない紙をサッと収められるところ。
アイデアを書いて、
「これは残しておきたいな」と思ってページをちぎる。
……まではいいんですが、
その紙、気づくとどこかへ行方不明になるんですよね(笑)。
机の上に置いたはずなのに、
あとで見返そうとすると見当たらない。
「あのアイデア、どこ行った?」
そんなことが何度もありました。
このホルダーにはポケットが5つあって、
アイデアの切れ端や忘れたくない紙を、サッと収められます。
右側にはノート、左側にはちぎった紙やメモ。
この使い分けがあるだけで、アイデアが迷子にならなくなりました。
ノートとホルダーは、個人的にはセットで使うのがおすすめです。
④
セーラー万年筆
長刀研ぎシルバートリム

今年も何本か、万年筆を迎えました。
その中で「1本だけ選ぶとしたら?」と聞かれたら、
迷わずこれだな、と思うのがこの長刀研ぎです。
万年筆って、書き心地の違いはもちろんあるんですが、
僕はどうしても個性のあるものに惹かれてしまいます。
正直な話、
買った直後の数日は毎日使うんです。
「いいな」「やっぱりいいな」って思いながら。
でもそのあと、
気づくとペンケースの中に入ったまま、
しばらく出番がなくなる万年筆も結構あって……(汗)。
眺めているだけでも満足できるし、
観賞用としては最高なんですよね。
でもやっぱり、
万年筆は使ってあげてこそだよな、とも思う。
そんなことを何度か繰り返して、
最近は万年筆を迎えるとき、
以前よりずっと慎重になりました。
「本当に、これからも使い続けるかな?」
「このペンで、ちゃんと書きたいと思えるかな?」
そう考えたうえで、
それでも「個性的な一本を迎えてみよう」と思えたのが、
この長刀研ぎでした。

この万年筆の一番の魅力は、やっぱり ペン先 にあります。
長刀研ぎの面白さは、
書く角度で、線の太さが変わるところ。
横から見ると、
ペンポイントが通常のペン先よりも大きくなっています。

一目で
「あ、これは普通のペン先じゃないな」
と分かる変態的な形。
この形状は、
限られた職人さんだけが仕上げられる
かなり高度な技術の結晶だそうです。
実際に書いてみると、
その理由がすぐに分かります。
ペンを立てれば、すっと細い線。
少し寝かせると、線がぐっと太くなる

角度ひとつで、
線幅が自然に変化してくれるのが、本当に面白い。
それだけで、
日本語特有の「とめ・はね・はらい」が
とてもきれいに表現できる。
上手く書こうと意識しなくても、
文字に自然な抑揚が生まれるんですよね。
「今日はこれで書こう」
そう思って、自然に手が伸びる。
今のところ、
ペンケースの中で眠る気配はありません(笑)。
⑤
Leica Q3 43
文具以外にも、実はカメラも好きです。
&Liebeの仕事をしていると、
商品撮影やSNS用の写真を撮る時間も、
自然と生活の一部になっていきました。
自分の商品や、
使っているペン、
机の上に並べた文具たち。
それをどう切り取るかを考える時間が、
純粋に好きなんだと思います。
これまで長く使っていたのは富士フイルムのX-S10。
色合いや雰囲気がとても好きで、
それで十分だと思っていました。
それでもどこかで、
「違う表現も見てみたいな」という気持ちが出てきて。
そこで気になったのが、この Leica Q3 43 です。
……とはいえ、
買うと決めてからが長かった。
購入ボタンを押すまで、
正直、1週間くらい悩みました。
指、ちょっと震えてました(笑)。
でも実際に使い始めてみると、
「写真を撮る」という行為そのものが、
より楽しくなった感覚があります。
これは、家の猫があくびをしている瞬間をたまたま撮れた一枚。
商品や文具の写真を撮るのも好きですが、
こうやって猫の写真を撮る時間も、けっこう好きです。
考え事をしているときも、
作業に煮詰まったときも、
横でこんな顔をされると、自然と肩の力が抜けます。
猫って、やっぱり癒されますよね。
商品を撮る時間も、
机の上の文具を撮る時間も、
そして、何気ない日常を切り取る時間も。
カメラがあることで、
いつもの風景を、少しだけ丁寧に見るようになりました。
今年も、いいモノに支えられました
こうして、今年の買い物を振り返ってみると、
「これは買ってよかったな」と思えるモノには、
ひとつ共通点がありました。
それは、
毎日の中で、自然と手が伸びること。
特別な気合を入れなくても、使いたいと思えること。
それが、
自分にとっての「いいモノ」なんだと思います。
来年もまた、
書いて、考えて、作って、撮って。
そんな日々を楽しみながら、
ものづくりに向き合っていけたらと思います。