きっかけは、出張のとき

ノートやペンケース、手帳に本。
いつもの文具たちをトートに詰め込んで、出張に出かけた日がありました。
使い慣れたバッグで、悪くはない。
けれど、どこか“しっくりこない”感じがずっと残っていました。
ペンやノートは、ただの道具じゃなくて、日々を一緒に過ごす大切な存在。
だからこそ、それらを気持ちよく持ち運べるバッグがあればいいのに。
そう思ったのが、このトートづくりの始まりでした。
出張から戻ってすぐに、
A4コピー用紙に描いたラフ

出張から帰ったあとも、どこか引っかかっていました。
「やっぱり、文具のためのバッグがほしい」
気づけば手元にあったA4のコピー用紙に、スッと線を引いていました。
それが、このトートの最初のアイデアスケッチです。
サイズは?深さは?ポケットの位置は?
実際に持ち歩く道具を思い浮かべながら、直感的に描いたこの図から、試作が始まりました。
1stサンプルは、
栃木レザーのスムースレザーから
最初のサンプルは、栃木レザーのスムースレザーで作りました。
開閉はマグネット式で、ぱっと開け閉めできる仕様。
この段階で、お客様やSNSのフォロワーさんに意見を聞いたところ、
「中身が見えないファスナー式が安心」
「底びょうがあると、床に置くときに気にならない」
など、たくさんの声をいただきました。
ところが、ここでひとつ課題が。
スムースレザーは見た目がとても美しい反面、革にコシがあって硬く、縫製が難しい。
量産となると、安定した仕立てが難しいという結論に...
そこで、第2サンプル以降は「ペブルヌメレザー」に切り替えることにしました。
やわらかく手になじみ、シボのある表情が豊かで、傷や汚れも目立ちにくい。
日常づかいするバッグには、ぴったりの素材です。
一番最初に考えた
顔になるフロントポケット
デザインのスタート地点は、フロントポケットでした。
いつも使っているトラベラーズノートをサッと取り出せて、
写真を撮ってSNSに載せたくなるような、文具好きの心をくすぐる見た目にしたかったんです。
「それ、どこの?」と聞かれそうなアクセントになりつつ、
読みかけの文庫本や、ほぼ日weeksもすっぽり収まる実用的なサイズ感にこだわりました。
ビジネスだけじゃなく、
毎日使えるトートにしたかった

サイズを決めるときに一番意識したのは、「仕事の日も、オフの日も使えること」でした。
A4や13インチのPCが入るのはもちろん、見た目のバランスや、肩にかけたときのラインも大事。
“いかにもビジネスバッグ”にはしたくなくて、プライベートでも気負わず使える、そんな雰囲気を目指しました。
バッグの中でも、
迷子にならないように
内装のポケットは、“あれ、どこいった?”をなくすための設計です。
ペンが2本入るホルダー、スマホやメモ帳が入る仕切りポケット、さらに貴重品用のファスナーポケットも完備。
革の縁取りを加えることで、仕立てに統一感と高級感を出しながら、耐久性もプラスしました。
見えないって、実はすごく大事
ファスナー開閉にした理由
最初のサンプルでは、マグネットボタン式を採用していました。
開け閉めがしやすく、見た目もスマート。そんな思いで選んだ仕様でした。
でも、実際に1stサンプルをお見せして、お客様やSNSでご意見をいただく中で、
「中身が見えないほうが安心」
「人混みや通勤電車では、しっかり閉じられるほうがいい」
という声が多く届きました。
それを受けて、ファスナー開閉式に変更。
中身が見えなくて、しっかり閉じられる。
いただいた声をもとに、少しずつ調整を重ねて、バッグの形が自然と見えてきました。
「床に直接置きたくない」
から生まれた底のこだわり
「バッグを床に直接置くのが気になるから、底びょうをつけてほしい」
それは、お客様から多く寄せられた声のひとつでした。
実際に底びょうをつけたことで、カフェの床や電車の足元でも“気にせず置ける”という安心感が生まれました。
トートバッグ、完成!
構想から約1年。
何度もサンプルを見直しながら、文具好きのみなさんの声をもとに、理想の形を少しずつ形にしてきました。
使いやすさはもちろん、持ったときの佇まいや、机に置いたときの雰囲気まで。
「使い心地」と「見た目の心地よさ」を両立できるよう、細部までこだわり抜きました。
このトートが、あなたの文具時間に、ほんの少しでも心地よさとときめきを届けられたらうれしいです。

















