「書こう」と思ったときに、
すぐに書けない。
この手帳を作ろうと思ったきっかけは、
本当にちょっとしたことでした。
ふと思いついたことを書きたい。
でも、ペンはペンケースの中にある。
手帳はバッグの中に...
ペンを出して、
手帳を出して、
ページを開いて、
ようやく書く。
たったそれだけのことなのですが、
その間に「あれ、何を書こうとしていたんだっけ」
となることがありました。
だったら、
ペンと手帳を一緒にできないか。
書きたいと思ったときに、
すぐペンが手に取れる。
その小さな使いやすさを形にしたくて、
この手帳の開発が始まりました。
まず考えたのは、
手帳としての書きやすさ。
ペンと手帳を一緒にする。
それだけ聞くと、
ペンホルダーを付ければ完成しそうに思えます。
でも、僕たちが作りたかったのは、
ただペンを持ち歩ける手帳ではありません。
書きたいと思ったときに、
気持ちよく開いて、
気持ちよく書ける手帳です。

だからまず考えたのは、
手帳本体の使い心地でした。
机に置いたときに、
ガバッと180度開くこと。
リングが大きすぎて、
書く手の邪魔にならないこと。
必要以上に厚くならず、
毎日持ち歩きたくなること。
まず「手帳としての使いやすいさ」を何度も考えました。

ペンを取る。
リフィルを開く。
思いついたことを書く。
その動きが、途中で止まらないこと。
手帳本体の開きやすさ、
リングの大きさ、厚み、持ち心地。
ひとつひとつを整えることで、
書きたい気持ちがそのまま紙に向かう手帳を目指しました。
大きなリングを
選ばなかった理由
リングが大きいほど、
たくさんリフィルを挟めます。
でも、書くときに手に当たりやすくなる。

リングを気にして、
文字を書く位置が少し窮屈になることもあります。
その小さな違和感を減らすために、
11mmリングを選びました。
リフィルをたくさん挟むためではなく、
気持ちよく書くために。
書きやすさを追求しました。
何度も悩んだのは、
見えない芯材でした。
今回使っているのは、
シボの表情が美しいペブルヌメ。
革の質感や手触りは、とても良い。
でも、手帳として使うなら、
ある程度のしっかり感も必要です。
やわらかすぎると、書くときに頼りない。
硬すぎると、革らしい表情が失われてしまう。
そのバランスが、想像以上に難しかったです。
一度は、
この仕様で進めようというところまで決まっていました。
でも最後に、
どうしても気になる部分が残りました。
このままでも使える。
でも、毎日使う手帳としては、もう少し良くできる。
そう思って、
一度決まりかけた仕様を見直し、
作り方からもう一度調整しました。
その分、販売開始も予定より大幅に遅れてしまい、
楽しみにお待ちいただいていた方には、本当に申し訳ございませんでした。
それでも、毎日使うものだからこそ、納得できる形でお届けしたいと思っています。
本体も、ペンホルダーリフィルも、
芯材を何種類も試しました。
ただ革を使うだけではなく、
革を“手帳として気持ちよく使える形”にする。
見えない芯材の選び方まで、
何度も試しながら整えていきました。
たった1mmで、使い心地が変わる。
最後まで悩んだのが、
ペンホルダーリフィルの形でした。
最初は、M6サイズやバイブルサイズと同じように、
モンブラン149のような大型万年筆も入るサイズを考えていました。
でも、実際にM5サイズの手帳に合わせてみると、
少しバランスが悪く見えました。
M5は、コンパクトに持ち歩けることが魅力のサイズです。
そこに大きなペンホルダーを付けてしまうと、
手帳全体の見た目が少し重たくなってしまう。
だからM5サイズでは、
大型万年筆に合わせるのではなく、
手帳とのバランスを大切にしました。
細いボールペンだけでなく、
コンパクトな万年筆も入れられるように。
ペンホルダーには、
胴軸径 約13mm以下のペンを収納できるように設計しています。

ペリカン M400のようなコンパクトな万年筆や、
細身のボールペン、多機能ペンなどを、
手帳と一緒に持ち歩けます。
大きくしすぎると、見た目が美しくない。
小さくしすぎると、使いたいペンが入らない。
そのちょうどいいところを探しながら、
何度も形を調整しました。
ただペンが入るだけではなく、
M5サイズの手帳としてきれいに収まり、
毎日持ち歩きたくなること。
そんなペンホルダーリフィルを目指して、
最後まで微調整を重ねました。
あえて、ポケットを付けない
引き算の設計。

ポケットを付ければ、
もっと便利に見えるかもしれません。
カードも入れられる。
小物も入れられる。
収納力も上がる。
でも、この手帳には
あえて付けませんでした。
便利なものを足していくほど、
手帳は少しずつ厚くなり、
書くための道具から離れてしまう気がしたからです。

日本には、侘び寂び(わびさび)という考え方があります。
足りないことを欠点ではなく、
余白として受け入れること。
この手帳も、
すべてを詰め込むのではなく、
「書く」ために必要なものだけを残しました。
足すことで便利に見せるのではなく、
削ることで、書きやすく、美しく。
書くことに特化した、
引き算の設計です。
バインダー手帳、完成!
お気に入りのペンと、手帳をひとつに。
思いついたことを、すぐに書き留められる。
ガバッと開いて、気持ちよく書ける。
そして、必要なものだけを残した、シンプルなつくり。
そんな手帳を目指して、
何度も仕様を見直してきました。
ふと浮かんだアイデア。
忘れたくない言葉。
あとで見返したい小さな気づき。
“今、書きたい”
そう思ったときに、すぐペンが手に取れる。
毎日の中で、
書く時間が少し増えるような手帳になれたら嬉しいです。














