カランダッシュ エクリドール
「レトロ」レビュー
半年使って感じたこと
エクリドール「レトロ」
ずっと、気になっていたペンでした。
特別な理由はないのに、
SNSや文房具店で見かけるたび、つい目で追ってしまう。
僕にとっては、これがそうでした。
「いつかは使ってみたい」と思いながら、
そのまま何年も手に取らなかった一本。
M5のシステム手帳を使うようになり、
小さめのボールペンを探していたときに、ふと思い出したんです。
「あのペン、ちょうどいいかもしれない」
そうして半年ほど前に迎えたのが、
カランダッシュのエクリドール。
気づけば、M5と一緒に持ち歩く一本になっていました。
今回は、そんなエクリドールを
半年使ってみて感じたことをレビューします。
カランダッシュとは?
エクリドールを語るなら、
やはりブランドの話も少ししておきたいところです。
カランダッシュは、1915年創業のスイスブランド。
実はこの名前、ロシア語で「鉛筆」を意味する言葉が由来になっています。

もともとは鉛筆メーカーとしてスタートし、
現在では色鉛筆や画材、万年筆、ボールペンなどを幅広く展開しています。
特に有名なのが、
六角形のアルミボディを持つ「849」というボールペン。

あの形を見れば、「あ、これか」と思う方もいらっしゃるのかなと思います。
つまりエクリドールは、
その“鉛筆のDNA”を受け継いだ上位モデルのような存在。
六角形という形は、
単なるデザインではなく、ブランドの原点でもあるんですね。
カランダッシュのペンは、どのモデルもどこか共通した空気をまとっています。
無駄がなく、シンプル。それでいて、きちんと美しい。
派手さで惹きつけるのではなく、
使うほどに良さが伝わってくるデザイン。
流行に寄せたかっこよさではなく、
ふと気づいたらずっと手元にあるような佇まい。
たぶん、10年後も使っているのはこういうペンなんだろうな、と思わせてくれる。
カランダッシュには、そんな普遍性があります。
デザイン
迎えたのは、
カランダッシュのエクリドール「レトロ」というモデル。
この「レトロ」というパターンには、ちょっとした背景があります。
1947年、当時ドイツに駐留していたアメリカ空軍からの特別注文をきっかけに生まれたデザインだそうです。
その後いったん姿を消し、1990年代に復刻。
そして現在まで、定番モデルとして受け継がれています。
70年以上前に生まれたものなのに、今見てもまったく古さを感じない。
むしろ、今だからこそ新鮮に見える。
それがまず驚きでした。
近くで見ると、
一本一本の線が非常に細かく、精密に刻まれています。
線はただ並んでいるのではありません。
斜めにクロスしながら連続し、織物のような立体感を生み出しています。
遠目で見ると、すっと伸びるストライプ。
近くで見ると、緻密な編み目。
この“距離によって表情が変わる”感じが、たまらなく美しい。
六角形との相性
エクリドールの六角形軸は、
もともと鉛筆を思わせるフォルムです。
そこに斜めのラインが入ることで、
立体感がより強調されます。
丸軸にはない、面ごとの陰影。
面ごとに光の当たり方が変わるので、
少し回すだけで雰囲気が変わる。
思わず指でくるくると回してしまう。
この「回して眺めたくなる感じ」は、正直クセになります。
光の受け方が美しい
レトロシルバーは、鏡面のようにギラギラ光るタイプではありません。
彫刻があることで、光が細かく分散します。
そのため、
光が当たると部分的にキラッと輝き、
陰になる部分はしっとり落ち着く。
写真のように自然光の下では、
線の陰影がはっきりと浮かび上がります。
強く主張する光ではなく、
静かに反射する光。
この“静かな反射”が、とても上品なんですよね。
触ったときの感触
レトロは、見た目以上に「触って気持ちいい」ペンです。
表面はツルツルの鏡面仕上げではなく、
細かい斜めの彫刻がびっしり入っています。
指でなぞると、わずかな凹凸を感じる。
この“ほんの少しの引っかかり”がちょうどいい。
金属軸のペンは滑りやすい印象がありますが、
レトロは自然と指が止まります。
強く握らなくても安定する。
長時間書いていても、余計な力が入りにくい。
見た目の美しさだけでなく、
触れたときの安心感も、このペンの魅力です。
スペック
エクリドール レトロの全長は128mm。
胴軸の最大径は8.0mm(クリップ部を除く)。
数字だけ見ると、かなり細身です。
実際に手に取ると、コンパクトで指に収まる感覚があります。
M5のシステム手帳と合わせても、主張しすぎないサイズ感です。
重さは26.5g。
ボールペンとしては、やや重めの部類に入ると思います。
エクリドールは、軽いペンではありません。
金属軸らしい、しっかりとした重みがあります。
ですが、不思議と「重たい」という印象はない。
その理由は、バランスの良さにあると思っています。
重心が中央付近にあり、ペン先側に偏りすぎない。
だから自然に重さを預けられる。
力を入れなくても、
ペン自体の重みでスッと線が伸びていく感覚があります。
この絶妙なバランスは、
長く定番として残り続けている理由のひとつだと感じました。
実際の書き味
正直に言うと、書き心地は“普通”です。
驚くほどなめらか、というわけではない。
感動的な滑走感があるわけでもない。
でも、引っかかる感じはありません。
スッと滑るというより、
「スーッ」と落ち着いて伸びていく感覚。
派手さはないけれど、安定している。
線がブレない。
かすれない。
急いでいるときも、
打ち合わせ中も、
立ったままメモを取るときも。
とりあえずこれがあれば大丈夫、と思える。
半年使ってみて感じるのは、
「気づいたら使っている一本」だということ。
主役ではないけれど、信頼できる。
そんな書き味です。
こんな人におすすめ
エクリドール レトロは、こんな人にはきっと刺さると思います。
・コンパクトなペンを探している人。
・毎日持ち歩ける一本がほしい人。
ポケットや小さなバッグにすっと収まるサイズ感は、
本当にちょうどいい。
・そして何より、デザインが好きな人。
六角形のフォルム。
規則正しく刻まれたライン。
光の当たり方で変わる表情。
「整ったもの」に惹かれる人には、たまらない一本です。
・M5のシステム手帳を使っている方にもおすすめ。

サイズ感も、雰囲気も、まさにシンデレラフィット。
主張しすぎず、でも確実に格上げしてくれる。
そんな存在です。
まとめ
ずっと、気になっていたペンでした。
手に取らずにいた時間も含めて、
今となってはこの一本の物語のように思えます。
派手ではない。
書き味も、いわゆる“感動級”ではない。
でも、気づけばいつも手元にある。
デザインは静かに美しく、
触れると心地よく、
書けば安定している。
そしてM5のシステム手帳に、ぴたりと収まる。
特別な一本というより、
長く付き合える一本。
きっと10年後も、
当たり前のように机の上に転がっている気がします。
「あのとき、買ってよかったな」と思えるペン。
カランダッシュ エクリドール「レトロ」は、そんな存在でした。