ペリカンM400とM800の違いを解説!

あなたに合うのはどっち?

ペリカンの「スーベレーン」シリーズは、世界中の万年筆愛好家から長年支持され続けている名品です。

その中でも代表的なモデルが M400 と M800

同じスーベレーンの仲間でありながら、実際に使ってみるとそのキャラクターは大きく異なります。

「どちらを選べばいいのか?」と迷う方も多いのではないでしょうか。

今回はM400とM800の違いを、サイズ・デザイン・持った感じ・書き心地など、実際の使用感に基づいて詳しく解説していきます。

♦︎ ペリカン万年筆とは

ペリカンは1838年にドイツ・ハノーファーで創業しました。


当初は画材やインクのメーカーでしたが、その技術を活かし1929年に独自のピストン吸入機構を備えた万年筆を発表。


大量のインクを収納できる革新的な仕組みは、万年筆業界に大きな影響を与えました。

♦︎ スーベレーンシリーズ

スーベレーンは、ペリカンを代表するクラシックな高級万年筆ラインで、デザイン・品質・歴史の深さから世界中で高く評価されています。


特徴的なのは縞模様のボディ。


M300(小型)からM1000(大型)まで幅広いサイズとカラーが揃い、好みに合わせて選べます。


「スーベレーン」とはドイツ語で「卓越した」「優れた」という意味で、その品質の高さを象徴しています。

♦︎「M」と数字の意味って何?

まずは型番の意味から。

ペリカンの万年筆には「M+数字」という型番が付けられています。

・ M :ドイツ語の「Mechanik(機械)」の頭文字で、ピストン吸入式の万年筆を意味します。

・ 数字 : モデルのサイズを表しており、数字が大きくなるほど軸が太く、重さも増し、大型になります。

 つまり、M400はスーベレーンシリーズの中でも軽快に扱える標準モデル、M800はより上位クラスに位置する重厚な大型モデルということになります。

画像引用元:ペンハウス 様(https://www.pen-house.net/
僕自身もよく利用させていただいている筆記具専門店で、万年筆やインクを探すときにとてもおすすめのお店です。

サイズと存在感

左:M800 | 右:M400

・M400

M400は全長約127mm(キャップポストすると149mm)、重量は15g前後と小さくて、軽やか。


大人の男性が手に取ると「正直小さいな」という印象を受けます。


手帳や日記、メモ帳などにサッと書き込むのに最適です。

・M800

一方のM800は全長約142mm(キャップポストすると166mm)、重量は28g前後。


数字以上にずっしりとした存在感があり、持った瞬間にしっくりくる絶妙なサイズ感です。


見た目のボリュームも相まって、書く前から気持ちを高めてくれるような佇まいです。

持った感じの違い

実際に握ってみると、両者違いはさらに明確になります。

・M400

M400は細身で軽く、手の小さい方でも自然にフィットします。


キャップを後ろに差してもバランスが崩れにくく、長時間持っていても疲れにくいのが特徴。


日常的に使い続けられる“軽快な道具”という印象です。


ただし男性が持つとやや小ぶりに感じることもあります。


しかしその分、軽くて取り回しが良く、手帳やノートにサッと書き込むときの快適さは抜群です。

・M800

M800は太軸で重量感があり、しっかりとしたホールド感を味わえます。


キャップを後ろに差すとやや後ろ重心になりますが、手の大きい方ならむしろ安定して握れるでしょう。


筆記時には軸の重さを活かして紙の上をスムーズに滑らせられるため、力を入れなくても自然に文字が書けるのが魅力です。

デザインと雰囲気の違い

両者ともスーベレーンらしいクラシックな佇まいを持っていますが、選ぶモデルによって印象は異なります。

M400 は標準的にはストライプ模様が特徴ですが、僕が選んだのはブラック...(比較できず申し訳ございません...)


縞模様のないシンプルなデザインは、落ち着いた印象で飽きがきません。


軽やかで上品な雰囲気があり、コンパクトさも相まって「普段使いの相棒」として気軽に持ち歩ける一本です。

M800 は縞模様のモデルが多く、太軸ゆえの堂々とした風格が漂います。


手元に置くだけで「大人の文具」というオーラを放ち、スーツの内ポケットやデスクに置いた姿は、持ち主の格を引き上げてくれるように感じます。

ペリカンの天冠って美しいですよね。

ペン先の違い

・M40014金のペン先。

小さめの文字や繊細な線をコントロールしやすく、日記やノートに細かく書き込むときに心地よさを感じます。


・M80018金の大型ペン先。

安定感があり、インクフローも豊かです。


筆跡がしっかりとした存在感を持ち、大きめの文字やサインなどで真価を発揮します。


「堂々とした一筆を残す」ための力強さを持ったペン先です。

書き心地の違い

スーベレーンシリーズの魅力のひとつは、共通して感じられる“インクフローの良さ”。


筆記時にインクがスムーズに流れ、紙の上をペン先が自然に走っていく心地よさがあります。

・M400の書き心地

M400の書き心地は軽くて、小回りが利きます。


細かい字でも輪郭が安定し、非常に扱いやすいと感じます。


日本語のように画数が多い文字を書くときにも無理がなく、細やかな表現に向いています。

・M800の書き心地

M800の書き心地 は対照的に、ペン自体が大きく、重量もあるため、筆圧をかけなくてもインクがスッと出てくるイメージ。


まるでペンに導かれて文字が生まれていくような感覚があります。


大きな文字や速記にも向いており、サインを書くときや手紙をさらさらと綴るときには、特に「万年筆で書く楽しみ」を実感できるモデルです。

実は僕自身、最初に万年筆の魅力にハマったのはM400でした。


思い入れのある一本ですが、今の自分の好みでいえばM800の方が好きです。


書くたびに豊かなインクフローを感じられるM800は、より“万年筆らしさ”を堪能できる存在だと思います。

あなたに合うのはどっち?

・M400がおすすめな人

M400は軽快に扱えるのが魅力で、細かい文字を書くことが多い方や、長時間の筆記を快適にしたい方に向いています。

特に手が小さい方や女性の方にはフィット感が良く、自然に馴染むサイズ感 です。

軽くて取り回しやすいので、日記や手帳用として毎日気軽に使いたい人には最適でしょう。

ただし、男性が使うと「少し小さい」と感じることもあります。

その場合は、軽快さを優先するか、サイズ感を優先するかで選び分けるとよいでしょう。

・M800がおすすめな人

M800は、しっかりとした存在感を求める方にぴったり。


大きめのペン先と豊かなインクフローで、太めの筆跡や力強い書き味を楽しみたい方に向いています。


また、胴軸が太いため 手の大きな方や男性には特に持ちやすく、バランスが取りやすいサイズ といえます。


インク容量も多いので、長文を書く人や外出先で頻繁に補充したくない人には大きなメリットです。

価格の比較

じゃあ価格はどうなの? 

最後に気になる価格についても触れておきます。 

メーカー希望小売価格
・ M400:63,800円(税込) 
・ M800:99,000円(税込) 

 同じスーベレーンシリーズでも、サイズやペン先の仕様によって価格に差があります。

M400はまだ手に取りやすい価格で、万年筆デビューにも選ばれることが多いモデルです。

一方M800は10万円近い価格帯で、高級筆記具としての存在感をしっかり示しています。 

 もちろん、どちらもペリカンらしい品質とデザインを備えていますが、その価格差には「サイズ」「素材」「書き味」といった違いがきちんと反映されています。

最終的には、自分の筆記スタイルや予算に合わせて選ぶのがよいでしょう。 

 ちなみに、Amazonや楽天などの通販サイトでは、この希望小売価格よりも2割ほど安く購入できる場合もあります。

気になる方はぜひチェックしてみてください。

まとめ

ペリカンのスーベレーンM400とM800は、同じシリーズでありながら、それぞれに全く違う個性を持った万年筆です。 

・ M400は小ぶりで軽快、手帳や日記に細かい文字を書くのにぴったり。 

・ M800は堂々とした存在感を放ち、豊かなインクフローで力強い筆跡を楽しめる。

どちらが優れているというよりも、自分の筆記スタイルや手の大きさ、用途に合わせて選ぶことが大切です。 

 僕自身、最初に万年筆の魅力に惹き込まれたのはM400でした。

思い入れのある一本ですが、今ではM800の伸びやかな書き味に魅了され、より“万年筆らしさ”を感じられる存在だと感じています。 

 もし迷っている方は、ぜひ両方を手に取って比べてみてください。

きっと「自分に合う一本」に出会えるはずです。