東京ペンショーで出会った
「ボナン/神代欅」 レビュー
先月11月の東京ペンショー。
毎年楽しみにしているイベントですが、今年は特に印象的な“出会い”がありました。
その出会いの相手は、
ボナンの神代欅(じんだいけやき)シャーペン。
買うつもりはまったくなかったのに、
手に取った瞬間、「あ、これは連れて帰るやつだ」と直感した一本です。
今日は、その出会いと、このシャーペンが持つ魅力についてゆっくり書いてみたいと思います。
ボナンとは
ボナンは、長野県松本市に工房を構える 木軸ペン専門ブランド です。
一本一本の木軸を丁寧に削り出し、
木目や質感、密度の違いをそのまま個性として活かした“世界に一つだけのペン”を作っています。
彼らが大切にしているのは、
「一生ものを選ぶ」体験。
理由ははっきりしなくても、どこか自分にしっくりくる瞬間がある。
そんな出会いを届けたいという想いがあります。
使うほど味わいが増し、小さな傷さえも愛着に変わっていく。
“そばに置いておきたくなる一本”を目指して、すべての注文に真摯に向き合っているブランドです。
東京ペンショーでの出会い

&Liebe の商品を扱ってくださっているペンネジュークさんのブースへ、ご挨拶に伺ったときのことです。
「いつもありがとうございます」とお話ししながら展示を眺めていたら、その中に、スッと気品のある一本が目に留まりました。
それが、ボナンの神代欅(じんだいけやき)のシャーペンでした。
深い色味なのに、どこか軽やかに佇む雰囲気。
僕は、出会って3秒で買うことを決めました(笑)
深い色の美しさ、無駄のないライン、木軸ならではの温かさ。
そのすべてが一度に押し寄せてきて、「これはもう連れて帰ろう」と自然に思えた一本でした。
家に帰って、開封していく!
深い赤紫に金の箔押しで「ボナン」と入っていて、その時点でテンションが上がります。
こういう“箱の佇まい”からすでにブランドの世界観が伝わってくるんですよね。
フタをゆっくり開けると、
黒いフォームにぴたりと収まった神代欅のシャーペンが現れました。
箱の中なのに、木目の存在感がしっかり伝わってくる。
光の角度によって表情が変わるこの深い色合いは、写真で見るより断然、本物のほうが美しいです。
金具の控えめな輝きも上品で、
「丁寧に作られた一本なんだな」と思わせてくれる、そんな開封時間でした。
デザイン
神代欅ならではの深い色味と、独特の木目。
「神代 欅(じんだいけやき)」とは、数百年から数千年もの間、地中に埋もれて腐らずに残っていた欅のことです。
火山の噴火や地滑りなどの天変地異で土中に埋もれ、長い年月を空気に触れない状態で過ごすことで、土壌の成分の影響を受けて色が変化します。
その結果、普通の欅にはない 深緑・灰褐色・黒っぽい色合い が生まれ、一本ごとにまったく違った表情を見せてくれるのが神代欅の魅力です。
写真では伝えきれない“奥行き”があって、光が当たる角度によって表情が変わります。
木目が細かく入り組んでいたり、ふわっと流れるように続いていたり。
一本の軸の中に、長い時間を過ごした木だけが持つ“物語”のようなものが見える気がします。
軸はスッと細身で、握ったときに手の中で収まりがいい。
太すぎず、細すぎず、本当に絶妙なバランスです。
木軸の優しい丸みが残っているので、自然と指がフィットします。
そして、黒のパーツと真鍮の金具。
この組み合わせがまた良いんですよね。
深い色の神代欅に、金具の控えめな輝きが上品に映えて、
“高級過ぎず、華美すぎず、落ち着いているのに存在感がある” という絶妙なところに収まっている。
特にクリップ部分は、デザインがシンプルなのにラインが綺麗で、実用性と美しさのバランスが取れていると感じます。
後端のノック部は真鍮で、触れるとほんのりひんやりする質感。
木の温もりがしっかり伝わってきて、「手に持ったときの体験」そのものが心地いいんですよね。
机に置いてあるだけでも雰囲気がありますし、ペンケースに並べても自然に馴染む。
飾りすぎない、けれどちゃんと美しい。
そんなデザインのシャーペンです。
スペック
今回選んだ神代欅シャーペンのスペックは、次のとおりです。
・長さ:136mm
・直径太さ:12mm
・重さ:32g
数字だけ見ると普通のシャーペンに近いサイズです
。
直径12mmは太すぎず細すぎず、本当にちょうどいいバランス。
どんな持ち方でも馴染んでくれる、クセのない握り心地です。
重さは 32g と聞くと「少し重いのかな?」と思うのですが、実際に持ってみると不思議と重さを感じません。
木軸が手にしっかりフィットしてくれるので、体感としてはもっと軽く思えるんです。
手に負担がなく、長時間書いていても疲れにくい1本です。
書き心地
まず感じたのは、とにかく 持ちやすい・握りやすい ということ。
木軸ならではのしっとりした質感が指に馴染んで、握った瞬間の“フィット感”がとてもいいんです。
そして、そのまま書き始めてみると、これがまた 書きやすい。
木の優しい温もりと、表面のほどよい滑らかさのおかげで、力を入れなくても自然とペン先が進んでいく感覚があります。
カリカリせず、かといって滑りすぎることもなく、ちょうどいいバランス。
木軸が手に吸い付くようにフィットしてくれるので、長時間書いていても手が疲れにくく、自然と文字が丁寧になるような心地よさがあります。
筆記中にふわっと木の香りが漂うのも良くて、書いているだけで気分が上がります。
短いメモにも、じっくりノートを書く時間にも寄り添ってくれる。
そんな“毎日手に取りたくなる書き味”の一本でした。
偶然の出会いが、特別な一本に
ボナンの神代欅シャーペンは、
東京ペンショーでの“偶然の出会い”から迎えた一本でした。
買う予定がなくても、
いつの間にか迎えているのが、文具の面白いところ。
そして、こういう「直感で選んだ一本」が、
気づけばいつも机の上にある相棒になっています。
神代欅の落ち着いた色、
木軸の優しい持ち心地、
ボナンの丁寧なものづくり。
その全てが、じんわりと心に残るペンでした。
経年変化も楽しめる木材なので、ここから時間をかけてどんな表情に育っていくのかもワクワクしています。
使うほどに少しずつ味わいが深まっていく。
そんな変化をゆっくり見守っていきたい一本です。
ボナンのHPはこちらです。