高い万年筆を一本買うか、
手頃な万年筆を何本か買うか。
万年筆が好きになると、使ってみたいものが次々と出てきますよね。
僕も、気になる万年筆を少しずつ買い足していた時期がありました。
でも、ずっと欲しかった一本を迎えてから、買い方が少し変わりました。
今日は、そんな僕自身の経験を書いてみようと思います。
欲しいけど、さすがに高い。
高価な万年筆を買うのって、勇気がいりますよね。
「使ってみたいな」と思って何度も調べるけど、値段を見るとなかなか踏み切れない。
一本のペンに、ここまでお金を使っていいのかな。
もう少し手頃なものでも、十分楽しめるんじゃないかな。
僕も、そんなふうに考えていました。
特に万年筆を好きになったばかりの頃は、本当に欲しい万年筆があっても、
「さすがにこれは高いし、今はこっちにしよう。」
と、もう少し手の届きそうな一本を買うことがよくありました。
もちろん、その万年筆も気になっていたものです。
ただ、心のどこかには、いつも別の「本当に欲しい一本」がありました。
買って、使って、また次の一本へ。
新しい万年筆を迎えると、やっぱり嬉しいんですよね。
インクを入れて、ノートに書いてみる。
しばらくは、その万年筆ばかり使う。
「これ、いいな。」
と思っているんですが、また気になる万年筆を見つけると、欲しくなってしまう。
そして次の一本を迎えると、今度はそちらばかり使うようになる。
以前よく使っていた万年筆は、少しずつ出番が減っていく。
そんなことを繰り返して、万年筆が増えていった時期がありました。
もちろん、どれも素晴らしい万年筆です。
それぞれ書き味も違うし、使ってみて初めてわかる良さもありました。
ただ、何本買っても、最初から欲しかった万年筆は、やっぱり欲しいままなんです。
「あれは高いから」と思っているのに、ほかの万年筆にはお金を使っている。
これ、少し買うのを我慢していたら、本当に欲しい一本が買えたんじゃないかな。
途中で、そんなふうに思うようになりました。
本当に欲しかった一本を迎えて価値観が変わった。
そこで一度、ほかの万年筆を買うのを我慢して、本当に欲しかった一本のためにお金を貯めてみました。
価格は、それまで買っていた万年筆の3倍近く。
やっぱり高いです。
買うと決めても、まだ少し迷う気持ちはありました。
それでも、数か月経っても欲しい気持ちは変わらず、ようやく迎えることができました。
それが、モンブラン149です。

嬉しくて、迎えてからはそればかり使っていました。
特に書くことがなくても、ノートを開いて、思いついた言葉をなんとなく書いてみる。
書きたいことがあるというより、ただその万年筆を使いたかったんですよね。
意味もなく文字を書いては、「やっぱり買ってよかったな」と思っていました。
それまでは、新しい万年筆を迎えても、しばらくするとまた次の一本が気になっていました。
でも、モンブラン149は時間が経っても、変わらず手に取っていました。
気づけば、ほかの万年筆を買い足すことも、かなり少なくなっていたんです。
気づけば、いつも使う万年筆は3本ほどに。
それまでは、新しい万年筆を買っても、しばらくするとまた次の一本が欲しくなっていました。
でも、本当に欲しかった万年筆は、時間が経ってもずっと使っています。
ほかの万年筆が気にならなくなったわけではありません。
今でも写真を見たり、使っている方のお話を聞いたりすると、「いいな」と思います。
ただ、そこで「自分も買おう」となることは、以前よりかなり減りました。
たぶん、手元の万年筆で満足できるようになったんだと思います。
今、普段ローテーションしている万年筆は、3本ほどに落ち着いています。
たくさん持っていても、日々手に取るのは、だいたいその3本です。
僕は、気に入った万年筆を繰り返し使うのが好きなんでしょうね。
本当に欲しかった一本を迎えて、ようやくそれに気づきました。
「買える一本」より、「本当に欲しい一本」を。
高い万年筆を一本買うか、手頃な万年筆を何本か買うか。
いろいろな万年筆を使ってみたいなら、何本か迎えるのも楽しいと思います。
僕も、実際に使ってきたからこそ、好きな書き味や、自分に合うものが少しずつわかってきました。
なので、それまで買ってきた万年筆を、無駄だったとは思っていません。
ただ、すでに本当に欲しい一本があるなら。
少し買うのを我慢して、お金を貯めて、その一本を迎えるのがおすすめです。
僕の場合、別の万年筆を買っても、憧れの一本はずっと気になっていました。
そして、ようやく迎えたモンブラン149やNAMIKI 50号は、何度も手に取りたくなる万年筆になりました。
高かったから使っているというより、使いたくて買ったものだから、自然と出番が増えたんだと思います。
もちろん、無理をして買う必要はありません。
少しずつお金を貯めながら、それでも欲しいと思うか、ゆっくり考えてみる。
数か月経っても気持ちが変わらなければ、そのときに迎えても遅くないと思います。
もし、あの頃の自分に声をかけられるなら、
「その一本もいいけど、本当に欲しい万年筆のために、もう少し貯めてみたら。」
と伝えたいです。
「今なら買えそう」よりも、「これを使いたい」。
そんな気持ちで選んだ一本を、長く楽しめたらいいですよね。