NAMIKI ウルシコレクション50号

世界最大級の万年筆、その大きさと書き味は?

ずっと、ずっと欲しいと思っていた万年筆を、ついに迎えました。


NAMIKI(ナミキ)ウルシコレクション50号。


漆で仕上げられた美しい軸に、世界最大級といわれる50号のペン先。


筆記具というよりも、まるで日本の伝統工芸品のような一本です。


何度も写真や動画を見ては、


「いつか使ってみたい」


と思っていました。


ただ、購入するうえで一番のネックになっていたのは、やはり価格です。


約30万円……。


万年筆が好きとはいえ、簡単に手を出せる金額ではありません。


欲しい気持ちはありましたが、何度も迷っては、


「さすがに高いな」


と諦めていました。

それでも、NAMIKI 50号を購入した理由

そんななか、&Liebeのお客様から、たびたびこんなお問い合わせをいただくようになりました。


「NAMIKIの50号は、&Liebeのペンケースに入りますか?」


&Liebeでは、大切な万年筆を守って持ち歩くためのペンケースを作っています。


モンブラン149やPILOTのカスタムURUSHIなど、大型の万年筆も実際に収納しながら、サイズや使い心地を確かめてきました。

ただ、NAMIKIの50号は持っていません。


そのため、お問い合わせをいただいても、自分の手元で試すことができず、はっきりとお答えできないことにもどかしさを感じていました。


やはり、万年筆を入れるペンケースを販売している以上、実際に購入して確かめるべきではないか。


これからの商品づくりにも活かせるはず。


そう考え、購入を決めました。


……というのは、半分は本当です。


もう半分は、ずっと欲しかった自分への、ちょうどいい言い訳だったのかもしれません(笑)

NAMIKI ウルシコレクション50号とは

今回購入したのは、


NAMIKI ウルシコレクション50号・漆黒・中字(M字)です。


NAMIKIは、パイロットが展開する蒔絵万年筆ブランド。

Namiki公式サイトから引用(https://www.pilot-namiki.com/jp/collection/urushi/)

ウルシコレクション50号は、1930年代初頭に「No.50 Jumbo」と呼ばれていた大型万年筆を、現代に甦らせたモデルです。


上塗りには油分を加えない漆が使われ、研ぎ炭で研いだあとに生漆を摺り込む作業を繰り返す「蝋色仕上げ」によって、深みのある艶が生み出されています。


装飾は控えめで、見た目はとてもシンプル。


それでも、光が当たったときの黒の深さや、表面のしっとりとした艶には、普通の黒軸とは違う美しさがあります。

この艶、すごいですよね!

派手な装飾はないのに、置いてあるだけで目を引く。

眺めていると、万年筆というよりも、日本の伝統工芸品を手にしているような気持ちになります。

箱の時点で、すでに普通ではない

商品が届き、最初に驚いたのは万年筆ではありません。


箱です。


とにかく大きい。


万年筆が一本入っているとは思えないほど、立派な箱で届きました。

最初に見たときは、


「兜でも入っているのかな?」


と思ったほどです。


外箱を開けると、Namikiのロゴが入った桐箱が現れます。

紫色の紐をほどき、ゆっくりと蓋を開ける。


深い赤色の布に包まれるようにして、ウルシコレクション50号が収められていました。

ずっと写真で見ていた万年筆が、ついに自分の目の前にある。


この瞬間は、やはり少し興奮しました。


「ついに買ってしまった……」


という気持ちと、


「やっと使える」


という気持ちが、同時に押し寄せてきます。


箱の中には、万年筆本体、ボトルインク、クリーニング用のクロス、説明書。


そして、なぜかスポイトが入っています。

万年筆を購入して、スポイトが付いてきたのは初めてでした。


最初は、


「これは何に使うんだろう?」


と思いましたが、実はこれがインクを入れるための大切な道具。


NAMIKI 50号は、このスポイトを使って、軸の中へ直接インクを入れていきます。

NAMIKI 50号のスペック

ここで、今回購入したNAMIKI ウルシコレクション50号のスペックを簡単にまとめておきます。


全長:約175mm

最大径:約20mm

重さ:約48g

ペン先:18金・50号

字幅:中字(M字)

インク吸入方式:スポイト式

インク容量:約6ml

機構:インキ止め機構

軸:漆塗り(蝋色仕上げ)

さらに、世界最大級といわれる18金の50号ペン先に、約6mlものインクを入れられる大容量の軸。


数字だけを見ても、普通の万年筆とはスケールが違います。


ただ、本当に驚くのは数字ではありません。


実物を目の前にして、手に持ったときの存在感です。

実際に手に持ってみた感想は

「めちゃくちゃでかい」

箱から取り出し、初めて手に持ってみました。


そのときの感想は、ほぼこれだけです。


めちゃくちゃでかい。

写真で大きいことは分かっていました。


サイズも事前に調べていました。


それでも、実物を手にしたときの迫力は想像以上です。


NAMIKI ウルシコレクション50号の全長は約175mm。


これまで、PILOTのカスタムURUSHIを初めて手にしたときにも、


「なんて大きな万年筆なんだ」


と思いました。


しかし、NAMIKIの50号と並べてみると、そのカスタムURUSHIが少し小さく見えてしまいます。

大型万年筆として知られるモンブラン149やカスタムURUSHIと並べても、その2本が小さく見えてしまうほどの大きさです。


特に驚くのが、ペン先の大きさ。


カスタムURUSHIの30号ペン先もかなり大きいのですが、NAMIKIはさらに大きな50号。

左からモンブラン149、カスタムURUSHI、NAMIKI50号。


三本のペン先を並べた写真を見ると、50号がどれほど大きいのか、よく分かると思います。

漆黒の軸は、眺めているだけでも楽しい

大きさにばかり目がいってしまいますが、漆黒の軸も本当にきれいです。


一見すると、とてもシンプルな黒軸。


しかし、光の当たり方によって、表面にしっとりとした艶が浮かび上がります。

ただ光っているのではなく、黒の奥にもう一層、深い黒があるような感じです。


軸に触れると、表面は驚くほど滑らか。


大きくて迫力のある万年筆なのに、触れたときにはどこか柔らかさがあります。


傷をつけたくなくて、最初は少し触るのも怖い。


でも、万年筆は使ってこそ楽しいものです。


眺めているだけでも満足できるほど美しいのに、手に取ると、やっぱり書いてみたくなる。


この美しさと道具としての魅力が、NAMIKI ウルシコレクション50号のすごさなのかもしれません。

スポイトでインクを入れるという面白さ

NAMIKI ウルシコレクション50号は、一般的なカートリッジやコンバーターを使いません。


付属のスポイトを使って、軸の中へ直接インクを入れていきます。


胴軸を外し、スポイトでボトルインクを吸い上げる。


そして、軸の中へ少しずつインクを注ぎます。

初めて入れるときは、


「本当にここへ直接入れていいの?」


と、少し不安になりました。


30万円の万年筆に、スポイトでインクを流し込む。


なかなか緊張する作業です。(なので、このシーンは撮影しながらするのは怖かったのでできませんでした)


ただ、実際にやってみると、これが面白い。

コンバーターのノブを回してインクを吸い上げる方法とはまったく違い、自分の手で道具を扱っている感覚があります。


少し手間はかかります。


でも、その手間さえも、この万年筆を使う楽しさのひとつになっています。

インキ止め機構って何?

NAMIKI ウルシコレクション50号には、昔ながらのインキ止め機構が採用されています。


使わないときは尻軸を締めてインクの流れを止め、書くときは少し緩めてペン先へインクを流す仕組みです。

ただ、初めてインクを入れたときは少し焦りました。


尻軸を緩めてもなかなか書けず、


「入れ方を間違えたかな?」


と不安になりました。


しかし、そのまま2時間ほど置いてみると、インクがペン先まで届き、無事に書けるようになりました。


僕の場合は、インクがペン先まで届くのに少し時間がかかったようです。


これからNAMIKI 50号を迎える方も、最初にインクが出なくても、焦らず少し様子を見てみてください。

最初は少し手間に感じますが、慣れてくると、尻軸を緩める動作が「これから書くぞ」というスイッチのように感じられます。


この少し儀式のような時間も、NAMIKI 50号ならではの楽しさです。

50号ペン先の書き味はどうなのか

いよいよインクを入れて、書いてみます。


今回選んだ字幅は、中字(M字)です。


大きな50号ペン先を紙に置き、ゆっくりと書き始めました。


その瞬間、


「何これ、めちゃくちゃ滑らか……」


と思いました。

これまで使ってきた万年筆の中でも、圧倒的に滑らかです。


紙の上をペン先がスーッと進んでいきます。


引っかかる感じがほとんどなく、インクも気持ちよく流れてくる。


中字らしく線にはしっかりと太さがあり、インクの濃淡も楽しめます。


これだけ大きなペン先なので、もっと豪快で扱いにくい書き味を想像していました。


しかし、実際にはとても安定しています。


もちろん、軸が大きくて太いので、最初は少し構えてしまいます。


手の小さい方や、細身の万年筆が好きな方にとっては、大きすぎると感じるかもしれません。

それでも、一度書き始めると、この大きさがだんだん気にならなくなってきます。


むしろ、大きな軸をゆったりと握り、力を抜いて書くのが気持ちいい。


急いで文字を書くというより、少しゆっくり書きたくなる万年筆です。

&Liebeのペンケースには入るのか?

今回、NAMIKI ウルシコレクション50号を購入した理由のひとつが、


「&Liebeのペンケースに収納できるのか、実際に確かめたい」


ということでした。


そこで、実際に&Liebeのペンケースへ収納してみました。


結果からお伝えすると、NAMIKI 50号を収納できたのは、

10本差しジップペンケースと、文具ポーチの2つでした。

ただし、余裕を持って収納できるわけではありません。


軸の太さも長さも、かなりギリギリです。

ペンを覆う保護フラップも、なんとか上からかぶせられる程度でした。

「きれいに余裕を持って収まる」というよりは、


NAMIKI 50号でも、なんとか収納できる。


という表現が近いです。

NAMIKI 50号を収納できる、

デスクオーガナイザーを開発中

実際に使ってみて感じたのは、NAMIKI ウルシコレクション50号は、気軽に持ち歩くというよりも、自宅のデスクでゆっくり楽しみたい万年筆だということです。


もちろん外へ持ち出すこともできます。


ただ、これだけ大きくて美しい万年筆だからこそ、いつでも手に取れる場所に置いておきたい。


そして、お気に入りの万年筆を眺める時間まで楽しめるものを作りたい。


そんな想いから現在、&Liebeではウォルナット製のデスクオーガナイザーを開発しています。

上部には、お気に入りの万年筆を一本ずつ置いて眺められる、3本分のペンスタンド。


自分の好きなペンを並べた姿は、まるで「ペンの祭壇」のようです。

その奥には、ボトルインクやペンクリーナーなど、筆記に使う道具をまとめて置けるスペースを設けました。


さらに、2段の引き出しには、合計10本の万年筆を一本ずつ収納できます。

もちろん、今回迎えたNAMIKI ウルシコレクション50号も収納できるサイズです。


眺めて楽しみたい3本は上へ。


大切に保管したい万年筆は引き出しへ。


インクや小物もひとつにまとめて、書きたいと思ったときにすぐ手に取れる。


ただ収納するだけではなく、お気に入りの万年筆と過ごす時間そのものが楽しくなるデスクオーガナイザーを目指しています。


そして先ほど、このデスクオーガナイザーの意匠登録出願を終えました。


そのため、開発中の姿をこの記事で初めて公開します。


まだ試作段階ではありますが、ここからさらに細かな使い心地や仕上がりを見直していく予定です。

NAMIKI 50号を迎えたことで、


「この万年筆を、自宅でどう楽しみたいか」


というところまで考えるようになりました。


大切な万年筆を収納しながら、いつでも眺められる。


そして、自然と手に取り、書きたくなる。


そんな自宅での新しい楽しみ方を、このデスクオーガナイザーで形にしたいと思っています。

大きさも、手間も、価格も。

それを上回る書く楽しさがある

NAMIKI ウルシコレクション50号は、誰にでも気軽におすすめできる万年筆ではありません。


約30万円という価格。


持ち歩くペンケースを選ぶほどの大きさ。


スポイトでインクを入れ、書くたびに尻軸を緩める手間。


細身の万年筆が好きな方には大きすぎると思いますし、手帳へ細かな文字を書き込みたい方には、もっと使いやすい万年筆があると思います。

正直、実用性だけで考えれば、ここまで大きくて手間のかかる万年筆を選ぶ必要はありません。


それでも、一度書いてみると、そんなことはどうでもよくなりました。


漆黒の軸を眺める。


手に取って、その圧倒的な大きさを感じる。


スポイトでインクを入れ、尻軸を少し緩める。


そして、大きな50号ペン先を紙に置き、ゆっくりと文字を書く。


その一つひとつが、ほかの万年筆では味わえない特別な時間になります。

大きくて、少し手間がかかって、価格も高い。


それでも、また手に取りたくなる。


「次は何を書こう」と思わせてくれる。


デメリットを分かったうえでも、それを上回るほど、書くことが楽しい。


NAMIKI ウルシコレクション50号は、そんな万年筆でした。